仮現運動観察時の脳活動におけるアルファ波脱同期の検討

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抄録

<p>運動知覚の研究は,先行研究において多く報告されているが、明確なメカニズムは提唱されていないのが現状である.運動知覚の理解は,ブレインマシンインターフェースの発展等に期待されている.運動知覚には,実空間を物理的に移動する物体の知覚である実際運動知覚と,物理的には移動していない物体があたかも移動しているように知覚される仮現運動知覚とが区別される.仮現運動は最適な条件下では実際運動と区別できないため,運動知覚の解明によく検討されている現象である.本研究では,仮現運動の一つであるベータ運動を用いて運動知覚処理に関連する脳領域を探ることを目的とした.ベータ運動は空間的に離れた2点に提示する刺激の時間間隔を変えることで,自然な運動が知覚される最適時相と,運動が知覚できない同時時相の2種類を提示できる.ベータ運動観察時の脳活動を脳磁界計測装置により測定し,各脳領域の信号源推定を行った.解析対象を背側視覚路上の後頭部と頭頂部とし,信号源推定の結果に対してウェーブレット変換を行い,事象関連脱同期・同期(ERD/ERS)を算出し,運動知覚に関わるアルファ波帯域の活動を検討した.その結果,脳活動の賦活化を示すERDは同時時相では一次視覚野である後頭部が最も大きかったが,最適時相では上頭頂小葉が最も大きかった.すなわち,空間認知に関わる上頭頂小葉の運動知覚への寄与が示唆される結果となった.</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual61 (Abstract), 196_2-196_2, 2023

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017345590549760
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual61.196_2
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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