共焦点顕微鏡で観察が可能なFRET型張力センサを発現するマウスの開発と評価
抄録
<p>細胞や組織内部の力を分子レベルで明らかにする方法としてFRET現象を利用した張力センサがある.FRET現象とは,例えば緑色蛍光タンパクと赤色蛍光タンパクをnmレベルの距離に接近させ青色光で励起すると,青色光では励起されない赤色蛍光タンパクが赤色蛍光を発する現象であり,両者をバネのようなリンカータンパクで結合すると,加わる張力をFRET ratio (緑色蛍光強度/赤色蛍光強度)で見積もることができる.我々もこのような蛍光タンパクのペアをアクチンを束ねるタンパク(アクチニン)に組み込んだ張力センサを開発し,細胞内のストレスファイバに作用する張力の変化などを調べているが,このセンサのプラスミドを組織に導入するのは極めて困難であった.そこで我々はこのセンサをゲノムレベルで発現するFRETマウスを開発,このマウスの各部組織の引張に伴うFRET変化を観察した.胸大動脈と尾腱を摘出し,共焦点レーザー顕微鏡(LSM880, Zeiss)下で0~40%の単軸ひずみを段階的に負荷・除荷し,FRET ratioを求めた.両組織ともひずみとFRET ratioはほぼ線形に変化したが,感度は腱組織の方が高かった.今回,我々が開発したFRETマウスは全身にセンサタンパク質が発現しており,蛍光も通常の共焦点顕微鏡で観察できる程度に明るい.今後,生体組織内部のひずみ変化を測定する新たな方法として期待できる.</p>
収録刊行物
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- 生体医工学
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生体医工学 Annual61 (Abstract), 86_1-86_1, 2023
公益社団法人 日本生体医工学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390017345590753152
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- ISSN
- 18814379
- 1347443X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可