骨伝導音による耳栓効果が音声聴取特性に及ぼす影響

DOI
  • 美和 あす華
    千葉大学大学院融合理工学府基幹工学専攻医工学コース
  • 大塚 翔
    千葉大学フロンティア医工学センター 千葉大学大学院工学研究院 千葉大学医学部附属病院メドテック・リンクセンター
  • 中川 誠司
    千葉大学フロンティア医工学センター 千葉大学大学院工学研究院 千葉大学医学部附属病院メドテック・リンクセンター

抄録

<p>生体組織を介して呈示される骨伝導音はその一部が直接内耳に到達するため,外耳や中耳の障害に起因する伝音性難聴の補聴に利用されてきた.近年では,イヤホンやスマートホン等の他,スマートグラスのように顔面に刺激呈示を行うコミュニケーション・デバイスへも応用されている.一方,骨伝導知覚の特長の一つに,イヤマフや耳栓等で外耳道を閉塞した際に低周波音のラウドネスが増大する現象である“耳栓効果”が挙げられる.小型オーディオ機器は概して低周波出力が不足するが,耳栓効果を効果的に利用することで低域の聞こえを増強できる可能性がある.著者らは,頭部の各部に骨伝導音を呈示した際の耳栓効果を評価し,従来部位(側頭骨の乳様突起,下顎骨の顆状突起,および前額部)を凌ぐ耳栓効果を示す顔面部位(鼻骨,眼窩下部および下顎角)が存在することを明らかにした.本研究では,耳栓効果が音声コミュニケーション・デバイスの音質に及ぼす影響の評価を目的として,耳栓装用の有無が骨伝導音声の知覚特性に及ぼす影響の評価を試みた.先行研究で大きな耳栓効果が得られた顔面部位(鼻骨および眼窩下部),および従来部位(乳様突起および顆状突起)における単音節明瞭度を調べた結果,顆状突起以外の部位において耳栓装用によって単音節明瞭度が上昇することがわかった.また,構成周波数帯域の低い男声の方が女声よりも明瞭度の上昇が大きいことが明らかになった.</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual61 (Proc), 388-390, 2023

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017345590778880
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual61.388
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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