矯正用レジンにおけるセルロースナノファイバーシートの補強効果

  • 柿﨑 千草
    日本歯科大学東京短期大学専攻科 歯科技工学専攻
  • 竹井 利香
    日本歯科大学東京短期大学 歯科技工学科

書誌事項

タイトル別名
  • Reinforcing effects of cellulose nanofiber sheets in orthodontic resins
  • キョウセイヨウ レジン ニ オケル セルロースナノファイバーシート ノ ホキョウ コウカ

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説明

保定装置に用いる矯正用レジンは長期間の装着を要するため,機械的性質を考慮する必要がある.そこで,植物由来で高強度,高透明性,軽量といった特徴を持つセルロースナノファイバー(以下CNF)に注目し,補強材としての活用を検証することとした.<br>  本研究の目的は,矯正用レジンに埋入したCNFシートの補強効果について検討し,今後の臨床応用に役立てることである.<br>  実験条件は,試料片の厚さを3.0 mmと1.5 mmの2種類に設定し,「補強材なし」,「CNFシート1枚」,「CNFシート2枚」の計6条件で三点曲げ試験を行なった.<br>  その結果,3.0 mmの試料片ではCNFシートを1枚埋入させた試料片の曲げ強さが最も大きな値となり,補強材なしやCNFシート2枚と比較して有意差が認められた.一方,1.5 mmでは統計学的な有意差は認められなかった.<br>  本研究結果から,CNFシートを埋入させることにより,条件によっては補強効果を得られることが明らかになった.これは,CNF本来が持つ高強度という特性が発揮されたためであると考えられる.<br>  CNFシートを1枚埋入させるより2枚埋入させた値が小さくなった原因は,CNFシート間に部分的な隙間が見られ,接着が不十分であったと考えている.<br>  今後,臨床応用するためには,1.5 mmの厚さに対してCNFシートの埋入位置や表面処理方法を検討する必要があると考えている.

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