総合診療と専門診療 どこまで診るか?どう診るか? 「循環器疾患」

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  • ソウゴウ シンリョウ ト センモン シンリョウ ドコ マデ ミル カ?ドウ ミル カ? ジュンカンキ シッカン

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抄録

総合診療が扱うべき疾患として,発熱性疾患(不明熱,急性感染症),臓器横断的疾患,精査 (体重減少,リンパ節腫脹,原発不明癌など)は十分認識されていることに対して,循環器疾患はやはり専門性が高い疾患を多く含むため総合診療部門で診療されることは少ないと思われる。2014 年東邦大学総合診療・救急医学講座瓜田純久教授当番のもとで開催された第 14 回全国大学病院総合診療部協議会で佐々木陽典先生が発表された「全国大学病院総合診療部が対応している疾患」のアンケート結果によれば,外来診療での「循環器疾患の診療あり」と回答した施設の比率は,高血圧において高く(約 73 % ),不安定狭心症(約 14 % )において低い結果であった。入院診療では「循環器疾患の診療あり」と回答した施設の比率は,慢性心不全において高く(約60 % ),不安定狭心症において低い(約 10 % )結果であった。心房細動は高齢者において高頻度な疾患であるため外来・病棟ともに 診療あり」と回答した施設が 30 %程度であった。 このアンケート調査が示すように,高血圧や慢性心不全は疾患頻度も高く日常よく遭遇する疾患であるため総合診療医が診る機会が多いと思われる。しかし,狭心症のような虚血性心疾患は急速に病態が変化する場合もあるため,総合診療医は高血圧や慢性心不全を診療するときに常に虚血を合併あるいは虚血に起因する病態に留意しながら診療を行い,虚血の診断や除外のために循環器専門医と良好な連携を保ちながら診療にあたっているのが現状と思われる。このような循環器専門医との連携は総合診療医が働く施設や環境で大きく異なるため,循環器疾患をどこまで診るかについては様々なケースがあると思われる。

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