非侵襲的肝線維化評価を用いたC型慢性肝炎に対する治療効果予測の有用性

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  • ヒシンシュウテキ カン センイカ ヒョウカ オ モチイタ Cガタ マンセイ カンエン ニ タイスル チリョウ コウカ ヨソク ノ ユウヨウセイ

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抄録

本邦のC型慢性肝炎はHepatitis C virus (HCV) genotype 1 型の難治例が多いが, 2011 年にプロテアーゼ阻害剤のテラブレビルが保険認可され, ペグインターフェロンαとリバビリンとの併用により, 約 80 %の症例で持続的ウイルス陰性化(sustained viral response : SVR)が得られる時代となった。 しかしながら, 高齢者に多い肝線維化進展例ではSVRに至らない症例も多く, 重症貧血や皮疹などの副作用も多いため, 治療導入の判断が困難である。 そこでわれわれは, 肝線維化に注目した治療効果予測モデルを構築し, 肝生検による病理組織評価と非侵襲的肝線維化評価であるFibroScanによる測定値, 肝線維化診断スコアであるaspartate aminotransferase to platelet ratio index (APRI)およびFIB-4 indexを用いて,治療効果予測の有用性を比較検討した。 その結果, 初回治療例や前治療再燃例では肝線維化の程度に関わらず約 90 %の症例でSVRが得られたが, 前治療無効例では軽度肝線維化症例(FO-2)のSVR率 88.2 %に対し,高度肝線維化症例(F3-4)でSVR率 9.1 %と治療効果に大きな差が認められた。 前治療無効例におけるSVR予測をROC解析により検討した結果,FibroScan値≤ 10.0 kPa(AUROC 0.99 ),FIB-4 index ≤ 3.5(AUROC 0.91 ), APRI ≤ 0,80 (AUROC 0.91 )とAUROC 値はいずれも高値であり,肝病理組織 ≤ F2 (AUROCO. 0.91)と同等の予測能が得られた。 以上より,肝生検に限らず,非侵襲的な方法でもSVR予測が可能であることが示された。 この研究結果は,将来多様化するC型肝炎治療の時代に,より確実なSVRを獲得するための重要な知見と考えられる。

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