IgG4 関連疾患

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IgG4 関連疾患(IgG4-related disease)は,血清IgG4 高値と罹患臓器への著明なIgG4 陽性形質細胞浸潤を特徴とする全身性,慢性炎症性疾患で,本邦から世界に発信している新しい疾患概念である。 高IgG4 血症を伴うシェーグレン症候群の報告後,自己免疫性膵炎,ミクリッツ病,これらに伴う腎・肺病変などで高IgG4 血症と膵臓や涙腺/唾液腺に著明なIgG4 陽性形質細胞浸潤が認められることが明らかになり,疾患概念が形成されていった。 免疫染色において,組織における著明なIgG4 陽性形質細胞の浸潤と線維化像である。 IgGには 4 つのサブクラスがあり,正常血清ではほとんどがIgG1で,IgG4 はIgG1 の 1 /20 程度しか存在しない。IgG4 関連疾患における臓器障害は,症例によって異なり特定の障害臓器はない。 IgG4 関連疾患の診断基準はまだ確立されておらず,診断は自己免疫性膵炎の診断基準に準じて行うが,膵病変を有さない症例があるため当院では次の診断基準を設定した。 当院における診断基準としては, 1.血清IgG4 値 ≧ 135 mg/dl。 2.膵腫大および膵管の狭細像または,硬化性胆管炎,涙腺・唾液腺炎,後腹膜線維症,間質性腎炎を認める。 3.上記臓器いずれかにIgG4 陽性形質細胞を 上記の1 〜 3のうち 2 つ以上を認めるものとした。 我々は当科におけるIgG4 関連疾患の臨床像の検討を行った。男女比は 4 : 1 で男性に多く,平均年齢は約 65 歳。もっとも頻度の高い膵病変はおおよそ 3 分の 2 に認め,耐糖能異常を合併していた。 次いで胆管,唾液腺,後腹膜,腎の順。全症例の平均障害臓器数は 2.9 臓器。 障害臓器数と血清IgG4 値の多寡とは相関を認めず,また血清IgG値が基準値にある症例でも血清IgG4 が高値となる症例も認めた,治療はステロイド治療を原則とするが,臓器障害による症状が軽度の場合は無治療で経過観察。 近年はIgG4 関連疾患は決して稀な疾患ではなく,全身さまざまな臓器に障害を及ばすため,各領域の科でも本疾患を周知すべき疾患である。

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