皮膚生検組織より確定診断に至った神経核内封入体病の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Neuronal Intranuclear Inclusion Disease Diagnosed Definitively from Skin Tissue
  • ヒフセイケンソシキ ヨリ カクテイ シンダン ニ イタッタ シンケイカク ナイ フウニュウタイビョウ ノ 1レイ

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抄録

<p>82 歳,男性。約 3 カ 月前からの物忘れを主訴に近医内科より当院脳神経内科を紹介され受診した。頭部 MRI にて特徴的な所見を認めたため神経核内封入体病(neuronal intranuclear inclusion disease)を疑われ,診断のための皮膚生検を目的として当科へ紹介となった。腹部から脂肪織を含めて皮膚生検を施行した。病理組織学的に,汗腺細胞や血管内皮細胞の核の一部にごく小さな空胞状変化を認め,核内にユビキチン陽性の小型球状物を少数認めたものの典型像とは言えず確定診断には至らなかった。再度腹部から皮膚生検を行い,電子顕微鏡にて観察すると線維芽細胞,毛細血管内皮細胞において核内封入体を認め,神経核内封入体病と診断した。神経核内封入体病は皮膚生検により確定診断が得られる疾患であるため,今後も皮膚科への皮膚生検の依頼を受ける機会が見込まれる。診断には汗腺細胞や脂肪細胞を多く含む組織から生検を行うことが重要であり,生検部位は安全面・整容面を考慮し,腹部からの皮膚生検を提案する。またヘマトキシリン・エオジン(HE)染色のみでなくユビキチンなどの免疫組織化学染色を行うこと,さらに電子顕微鏡検査を行い核内封入体を正確に捉えることで,より診断に結びつきやすくなると考える。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 85 (6), 444-448, 2023-12-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (15)*注記

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