医療圏の異なる急性期2病院による脳神経救急診療の取り組み

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タイトル別名
  • Neurological emergency medical treatment efforts by two hospitals with different medical areas for acute care: Construction of an emergency medical care system using a social networking service
  • —SNSを用いた救急診療システムの構築—

抄録

<p> 滋賀県内の医療圏の異なる2つの急性期公的病院の間で構築した連携診療システムについて報告する.市立大津市民病院と済生会滋賀県病院は異なる医療圏に位置しており,それぞれが二次救急と三次救急を担当している.これらの病院は人的交流と地理的条件が整っていたことから,脳神経救急診療において連携を強化した.具体的には,SNSツールを使用して両病院の脳神経外科医や脳神経内科医が連絡を取り合い,患者の病態や画像情報を共有することで,緊急患者の治療をスムーズに進める仕組みを構築した.連携システムの導入後,市立大津市民病院では年間約1,080人の脳神経救急患者に対応し,そのうち224人が入院した.また,済生会滋賀県病院には29例の救急患者が転送された.このうち,主幹脳動脈塞栓や切迫する脳ヘルニアなど,時間的猶予のない超緊急症例は10例であった.超緊急症例10例のうち,主幹脳動脈塞栓の7例に対して,機械的血栓回収療法を行った.consultantsへの連絡から治療開始までの時間は平均103.4±44.7分であり,6例(67%)にThrombolysis in cerebral infarction(TICI)2以上の有効再開通が得られた.市立大津市民病院で本システム導入前の3年間で機械的血栓回収療法が6件に施行されていたが,診断から治療までの待機時間は平均101.1±27.8 min分であった.これらの治療待機時間に統計学的有意差はなかった.専門化,細分化が進んだ現在の医療において,特性の異なる急性期医療機関同士の連携は,互いの弱点を補完し,強みを活かす選択肢であるが,二つの急性期病院が脳神経救急の分野で緊密に連携し,地域医療に貢献した事例は少ない.本システムは,脳神経救急に携わる職員間でSNSグループを結成することできわめて緊密かつ効果的な病院間連携を築き上げた.</p>

収録刊行物

  • NEUROSURGICAL EMERGENCY

    NEUROSURGICAL EMERGENCY 28 (2), 103-110, 2023

    特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017500450459392
  • DOI
    10.24723/jsne.28.2_103
  • ISSN
    24340561
    13426214
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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