外切開による喉頭部分切除術の適応と実際

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抄録

<p> 外切開による喉頭部分切除術は喉頭早期癌に対する機能温存治療として, 放射線治療や経口的切除術とともに常にガイドラインの選択肢に挙げられている. しかしながら, 日本頭頸部癌学会の頭頸部悪性腫瘍全国登録では, 声門癌全体の1.5%, 声門上癌全体の1.3%に過ぎず, 経口的切除術の15.4%, 11.1%に比べると約1/10となっており, 術後機能障害や侵襲の点から初回治療の適応が極めて限局的であることが示されている. 早期声門癌に対しては約75%に放射線治療が行われているため, 再発例に対する救済手術が少なからず求められる. 声門下進展例では内視鏡での視線が斜めとなり正確な進展範囲の把握が容易でなく経口的切除が困難であるが, 外切開による喉頭部分切除術では術中に喉頭内腔を直視下に観察でき正確にがんの進展範囲を確認しながら切除を行うことが可能であるため, 適応のひとつと考えられる.</p><p> 当科で行っている声門癌に対する垂直部分切除術の代表的術式である前側方喉頭部分切除について紹介する. 皮弁挙上から軟骨切除まではほぼ定型的な操作であるが, 健側声門下から声門上部を全層性に切離して喉頭内腔を展開する操作は唯一明視下に置けない. そのため, 健側声帯の切開位置と健側声帯に直交するような角度で切離する術前のシミュレーションが重要である. 喉頭内腔展開後は腫瘍の進展範囲が明視下となるため, 患側の切除は容易である. 摘出後は喉頭瘻孔を作製し二期的に閉鎖を行う.</p>

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