ニホンジカの反芻中の吐き出しによるヤマモモの種子散布の可能性と散布後の種子の発芽率に与える影響

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タイトル別名
  • Potential of <i>Myrica rubra</i> seed dispersal by spitting out by sika deer during rumination and its effect on germination rate after dispersal

抄録

<p>いくつかの反芻動物は第三胃を通過しないサイズの種子を口から吐き出す.この吐き出しによる種子散布はニホンジカ(Cervus nippon)では未だ報告されておらず,種子散布者としての働きが過小評価されていた可能性があった.本研究は飼育個体にヤマモモ(Myrica rubra)の果実を与え,種子サイズの違いが吐き出されるまでの時間に与える影響を調べた.また人為的に果肉を除去した種子を様々な環境下でインキュベートし,発芽率に影響を及ぼす要因について検証を行った.その結果,ヤマモモの野生種の種子のうち74%は24時間以内に口から吐き出され,糞中からは健全な形状の種子は検出されなかった.野生種のヤマモモでは果肉の有無は発芽率には影響を及ぼさなかった.in vitro試験では,温度が発芽率に対して正の影響,処理時間は負の影響を及ぼすことが明らかになった.ヤマモモ種子をルーメン内容物中に浸漬した場合,蒸留水に浸漬した場合よりも発芽率が低かった.ニホンジカの種子散布者としての働きは,野外での種子の吐き出し行動に関する情報と合わせて改めて評価する必要がある.</p>

収録刊行物

  • 哺乳類科学

    哺乳類科学 64 (1), 79-87, 2024

    日本哺乳類学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017611482558848
  • DOI
    10.11238/mammalianscience.64.79
  • ISSN
    1881526X
    0385437X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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