心房細動と出血リスクを有するエホバの証人信者に対して施行した低侵襲外科的左心耳マネジメントの2症例

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  • Two Cases Report of Less Invasive Surgical Left Atrial Appendage Management in Jehovah’s Witnesses With Atrial Fibrillation and Bleeding Risk

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抄録

<p>症例Ⅰは71歳男性,エホバの証人.健康診断で心房細動(Af)を指摘され,当院循環器内科を受診した.心原性脳塞栓症(CE)予防目的にエドキサバンによる経口抗凝固療法(OAC)を導入した.その後,小腸出血をきたし,出血リスクが上昇するOACの継続は希望されなかった.OAC離脱後,上腸管膜動脈(SMA)血栓塞栓症,脾梗塞,右腎梗塞を認めていた.そのため,外科的左心耳マネジメントの方針となり,小開胸下左心耳閉鎖術(MICS-LAAC)を施行した.無輸血手術であり,術後早期に退院となった.術後,心血管系イベントはなく経過している.</p><p> 症例Ⅱは77歳女性,エホバの証人.健康診断でAfを指摘され,当院循環器内科を受診した.虚血性大腸炎による消化管出血の既往があり,出血リスクが上昇するOACは希望されなかった.そのため,外科的左心耳マネジメントの方針となり,胸腔鏡下左心耳切除術(VATS-LAAR)を施行した.無輸血手術であり,術後早期に退院となった.術後,心血管系イベントはなく経過している.</p><p> 上記2症例はいずれもエホバの証人であり,消化管出血の既往がありOACによる出血リスク上昇を許容できない症例であり,低侵襲外科的左心耳マネジメントを施行した.同手術での出血リスクは低く,無輸血手術が可能である.そのため,今後OAC導入・継続困難例に対して有効な治療法の一つとなりうると考えられ,文献的考察を加えて報告する.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 55 (2), 172-179, 2023-02-15

    公益財団法人 日本心臓財団

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