国立病院機構の状況

  • 鈴木 由美
    国立病院機構 下志津病院 感染症内科・小児科 医師

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タイトル別名
  • コクリツ ビョウイン キコウ ノ ジョウキョウ

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抄録

全国の重症心身障害病棟をもつ国立病院機構における、新型コロナウイルス感染症(corona virus disease 2019:以下、COVID-19)の流行への対応状況について、2020年の秋にアンケート調査を実施した。各施設のCOVID-19陽性患者や濃厚接触者の受入れ状況は様々だったが、施設内でのCOVID-19関連の検査体制は多くの施設で整備されており、大部分の施設で病原体検査が可能だった。在宅の重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))のCOVID-19に関連した受入れ体制が整備されている地域は少なかった。療育活動や家族の面会は、多くの施設で感染対策への配慮や工夫をしながら実施されており、オンライン機器の活用も多くの施設で既に整備または準備が開始されていた。短期入所についても、施設毎に安全に受け入れる工夫をしながら、多くの施設で従前に近い人数を受け入れていた。重症心身障害医療に関連する職員の感染は散見されたが、長期入所中の重症児(者)の発症はごくわずかであり、調査の時点までで国立病院機構の重症心身障害病棟におけるCOVID-19クラスター事例の発生はなかった。今後の感染拡大に備えるためのBusiness Continuity Plan (以下、BCP:事業継続計画)や院内対応フェーズ表は策定されていない施設も多かった。今後、重症心身障害病棟における実際の対応経験や、重症心身障害医療の特殊性に配慮したBCPやフェーズ表などの情報共有ができるよう、施設間連携の強化が望まれる。

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