21 世紀における日本の医薬品開発の変遷(2001~2020)─ケミカルからバイオ,マルチモダリティへの流れ─

書誌事項

タイトル別名
  • Transitions of Drug Development in the 21st Century (2001~2020) in Japan -- From Chemical Pharmaceuticals to Biopharmaceuticals and Multimodalities --
  • 21世紀における日本の医薬品開発の変遷(2001~2020) : ケミカルからバイオ,マルチモダリティへの流れ
  • 21セイキ ニ オケル ニホン ノ イヤクヒン カイハツ ノ ヘンセン(2001~2020) : ケミカル カラ バイオ,マルチモダリティ エ ノ ナガレ

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抄録

目的:21 世紀に入ってから20年間の日本における医薬品開発の変遷について,国内発新薬(国内オリジン)を中心に,日本国内で承認された医薬品を調査することでまとめた.方法:調査には,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「新医薬品の承認品目一覧」を用いて新有効成分含有医薬品(新薬)を抽出した.PMDA の未公開期間については日本医薬情報センター作成の「医療用医薬品添付文書 XML」および新薬承認審査報告書データベース「日本の新薬」を用いた.次いで,各品目の審査報告書,インタビューフォーム等の資料を参照し,各品目のオリジンを調査し,モダリティを分類した. 結果・考察:国内発売数の年代推移において,国内オリジンは 1990 年代から減少の一途を辿っていたが,2010 年代に入るとその傾向が見られなくなった.また,依然として低分子医薬品が大半を占めていることに変わりはないが,2005 年を皮切りに,抗体医薬品をはじめとする国内オリジンの高分子バイオ医薬品が徐々に増加してきた.近年の医薬品の売上高ランキングでも,がん治療薬を中心とした,高価なバイオテクノロジー応用医薬品が上位を占めており,対象患者数が多い「ブロックバスター」新薬は過去のものとなりつつある.日本が後れを取っていた国産の高分子バイオ医薬品も徐々に増加しており,2001 年からの 20 年間は,低分子のケミカルから高分子のバイオ医薬品およびマルチモダリティへとシフトしてきた時代と言えよう.

収録刊行物

  • 薬史学雑誌

    薬史学雑誌 58 (2), 95-99, 2023-12-31

    日本薬史学会

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