腹腔鏡下に切除した胃結腸間膜由来神経内分泌腫瘍の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Laparoscopic Resection of a Neuroendocrine Tumor in the Gastrocolonic Mesentery

抄録

<p>症例は71歳の女性で,肝機能障害の精査のため腹部超音波検査を施行したところ,膵頭部腹側に30 mm大の腫瘤を認め,増大傾向であった.造影CTで,腫瘍は副右結腸静脈へ浸潤が疑われ,横行結腸の辺縁動脈に接していた.また,他臓器と連続性がない多血性腫瘍であり,腸間膜由来の神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;以下,NETと略記)または消化管間質腫瘍を疑い,根治切除の方針とした.術中,網囊を開放し観察したところ,腫瘍は隔壁を伴い,横行結腸間膜との連続性は認めなかった.腹腔鏡下に腫瘍摘出を行い,腫瘍血管は右胃大網動静脈より分岐することを確認できたため,胃結腸間膜由来の腫瘍と診断した.病理組織診断ではchromogranin A,synaptophysin,CD56陽性,Ki67陽性率は1%であり,NET G1に相当する所見であった.腸間膜由来,なかでも胃結腸間膜由来のNETは極めてまれである.また,腹腔鏡下術の拡大視効果によって,腫瘍と周囲組織との連続性の有無を詳細に観察することができ,低侵襲な治療を施行できたため,報告する.</p>

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