低ホスファターゼ症周産期型における周産期管理と治療への道筋

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抄録

<p> 背景・目的</p><p> 低ホスファターゼ症(Hypophosphatasia;以下HPP)とは,組織非特異的アルカリフォスファターゼ(TNSALP)をコードするALPL遺伝子の機能欠損によりALPが欠如または低下することで骨組織の石灰化障害が起こり全身の骨化不良をきたす遺伝性疾患である1)。HPPは発症時期により5つに分類されるが,そのなかでも胎児期から出生時に診断されるものを周産期型とよぶ。周産期型はこれまで致死的とされてきたが,近年では,比較的予後良好な症例の存在が知られるようになり,周産期型は周産期重症型と周産期良性型に分類されるようになった2)。発症頻度は欧米では,1〜3/300,000出生1,3),国内では1/62,500出生4)と報告されており,欧米よりも日本人に多い傾向がある。胎児診断には,胎児超音波検査,胎児CT検査,遺伝学的検査などがある。このなかでも胎児CT検査に関しては,近年その有用性が報告されている。被ばく線量が5mGy以下の低線量でも撮影可能であり5),third trimesterでの撮影が推奨されている。遺伝学的検査はこれまで羊水や臍帯血での出生前診断が報告されている。HPPはこれまで300以上の変異が報告されている6)が,特にc.1559delTp.F327Lは日本人に多く,そのなかでもc.1559delTは日本人に特有の変異と報告されている7)。出生後の治療は,以前は対症療法が中心だったが,近年,酵素補充療法製剤であるアスフォターゼアルファが開発され,生後早期からの投与によって周産期型の予後が劇的に改善するようになった8,9)。</p><p> 一方,HPPの問題点は早期に出生前診断をするための胎児診断法が確立していないこと,遺伝学的検査によって多くの変異部位が特定されているが遺伝子型と表現型の関係がわかっていないこと,そして酵素補充療法を開始するにあたり重症度やどのような症例が適応となるのかわかっていないことが挙げられる。</p><p> そこで,今回われわれは①超音波検査と胎児CT検査を比較すること,②遺伝子型と表現型や予後の相関について検討すること,③酵素補充療法を開始するための適応を検討することを目的とし研究を行った。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017843891410944
  • DOI
    10.34456/jspnmsympo.37.0_81
  • ISSN
    2759033X
    13420526
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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