日本の小学校英語教科書付属の音声教材に関する諸問題

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  • Problems with Audio Recordings for Elementary School English Textbooks in Japan

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抄録

本研究では日本の小学校英語教科書に付属されている音声教材に関する諸問題を考える。7種類の文部科学省検定済教科書のうち,日本で最も多く使用され,日本の英語教育への影響が大きいと考えられる点から,東京書籍が出版する『New Horizon Elementary English Course 5・6 』を使用した。付属のCD は,5年生用の教科書には4枚,6年生用には3枚用意されている。本研究では,まず,英語母語話者に不自然に聞こえる発話を特定してもらい,次に,その発話がなぜ不自然に聞こえるのかを音響的に分析した。 結果として3つの問題点が見つかった。第1に,発話速度が非常に遅く,不自然なポーズが生じている点である。第2に,音調核の位置に誤りがある点である。第3に,過度にドラマチックな読み方は,小学5・6年生には不適当である点である。 英語学習者,特に初級者に対し,音声教材は重要な役割を果たしている。現状の改善には,教科書執筆者とナレーターが入念に準備を行うこと,録音時には注意深くモニタリングすること,録音の品質管理のために文部科学省教科書調査官の関与を強化することが考えられる。制度全体の見直しが必要であり,モデルの妥当性の向上を目的とした諸外国との比較分析も重要である。

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