肺転移を生じた原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫の 1 例

  • 杉本 紘子
    山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座
  • 高須 啓之
    山口大学医学部附属病院形成外科
  • 山本 薫
    山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学講座
  • 下村 裕
    山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Primary Cutaneous Anaplastic Large Cell Lymphoma with Lung Metastasis

抄録

<p>51 歳,男性。初診 1 カ 月前より左頰部に皮膚腫瘤が出現し,急速に増大した。初診時,左頰部に 27.5 × 22.1 mm の紅色腫瘤を認め,37.6 × 31.4 mm の硬結を伴っていた。病理所見では,表皮直下から真皮全層にかけて中型から大型の核を有するリンパ球がびまん性に浸潤し,免疫組織化学染色では腫瘍の大部分で CD3,CD4,CD30 が陽性,ALK は陰性であった。遺伝子再構成では T 細胞受容体 Cβ1 鎖および ɤ 鎖 Jɤ 鎖でモノクローナルな遺伝子の再構成を認めた。造影 CT では全身の転移の所見はなく,末梢血に異型リンパ球はみられなかった。以上より,原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(primary cutaneous anaplastic large cell lymphoma ; Pc-ALCL, T1aN0M0)と診断した。トリアムシノロンアセトニドの局所注射を 3 回行ったが,腫瘍は増大傾向であったため,腫瘍から 1 cm 離して全切除を行った。深部断端が陽性であり追加切除を行った後に,浅腸骨回旋動脈穿通枝皮弁で再建を行った。術後 1 年 4 カ月の造影 CT で右肺底部の結節を認め,PET-CT で同部位に FDG の集積があったため,右下葉切除術を行った。病理所見で ALCL と診断し,術後 BV-CHP 療法を開始した。Pc-ALCL は予後良好とされているが,自験例のように単発であっても急激に腫瘍が増大する症例では治療後も注意深い経過観察が必要であると考えた。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 86 (1), 51-54, 2024-02-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (8)*注記

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