非晶質シリカナノ粒子によるマクロファージ傷害メカニズム

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  • Mechanism of macrophage injury by amorphous silica nanoparticles

抄録

<p>【目的】近年、ナノマテリアルは様々な分野で利用が拡大しているのに対し、その安全性は未だ研究途上である。非晶質シリカナノ粒子(OH-SiO2NPs)は、広範に使用されているナノマテリアルだが、アミノ基やカルボキシル基などで修飾を受けたSiO2NPsと比較して、in vivoで肺胞マクロファージを減少させるとともに、in vitroでマウスマクロファージ細胞株RAW264.7の細胞生存率を著しく低下させることが先行研究により明らかになっている。本研究は、in vitroでOH-SiO2NPsによるマクロファージ傷害メカニズムを検討した。</p><p>【方法】マウスマクロファージ細胞株RAW264.7をOH-SiO2NPsに曝露し、各種プログラム細胞死経路の阻害剤を処置することで、細胞傷害と各細胞死経路との関係を検討した。また、炎症性ケモカイン、サイトカインのmRNA発現量をRT-qPCRにより測定した。</p><p>【結果・考察】OH-SiO2NPsによって引き起こされた細胞生存率の低下は、各種阻害剤を単独で処置しても有意な改善は見られなかったが、非特異的カスパーゼ阻害剤とネクロトーシス阻害剤を同時に処置すると一定の改善傾向が見られた。このことから、OH-SiO2NPsによる細胞死にはアポトーシスまたはネクロトーシス経路の部分的関与が示唆された。また、RT-qPCRで測定したMIP-2, IL-1β, MCP-1, TNF-αのmRNA発現は、コントロール群と比較してOH-SiO2NPs曝露群で有意に上昇していた。この結果から、OH-SiO2NPsへの曝露がマクロファージの炎症性ケモカイン、サイトカインの発現を誘導することがわかったが、ケモカイン、サイトカインの細胞死における役割についてはさらなる研究が必要である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017920607824768
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p1-067s
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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