雄性マウスにおけるメタンフェタミンの継世代影響

DOI
  • 青木 咲子
    昭和大学大学院 薬学研究科 毒物学
  • 光本(貝崎) 明日香
    昭和大学大学院 薬学研究科 毒物学 昭和大学薬学部 基礎医療薬学講座 毒物学部門
  • 中野 僚太
    昭和大学薬学部 基礎医療薬学講座 生理学部門
  • 沼澤 聡
    昭和大学大学院 薬学研究科 毒物学 昭和大学薬学部 基礎医療薬学講座 毒物学部門

書誌事項

タイトル別名
  • Transgenerational Effects of Paternal Methamphetamine Exposure in Mice

抄録

<p>【背景】アンフェタミン型興奮薬は世界的に広く乱用されている。日本では特にメタンフェタミン(METH)の乱用者が多く、薬物事犯者のうち最多で推移している。母親のMETH乱用は、子に出生体重の低下、運動発達障害などの影響を与えると報告されている。しかし、METH乱用は男性に多いにも関わらず、父親の乱用が次世代へ与える影響は明らかでない。そこで本研究ではマウスモデルを用い、父親のMETH乱用が次世代及び次々世代に与える影響を検討した。【方法】6週齢のICR雄性マウスにMETHまたは生食を21日間皮下投与し、薬物未処置の雌性マウスと交配させ、仔(F1)を得た。出生日をP0とし、発育評価のために体重測定(P4-21)、正向反射試験(P4-12、2日毎)、断崖回避試験(P9-18、3日毎)およびワイヤーハング試験(P10-19、3日毎)を行った。6週齢で自発運動量測定及び高架式十字迷路試験を、7週齢で受動回避試験を実施した。一部のF1脳の線条体と海馬を採取し、RT-PCR法によりComtGabra3等の遺伝子発現量を測定した。また、一部の雄性F1(9週齢)と薬物未処置の雌性マウスを交配させ、孫世代(F2)を得た。P4から7週齢まで、F1と同様の試験を実施した。【結果・考察】F1、F2のMETH群では、対照群に比べ、いずれも有意な発育遅延が認められた。また、F1、F2共にMETH群の自発運動量は対照群に比べ有意に低かった。受動回避試験による記憶力評価では、F1のMETH群において記憶力の低下が認められたが、F2では認められなかった。F1、F2の脳では、一部雌雄差があるものの、ComtGabra3等、複数の遺伝子発現が変化していた。以上より、父親のMETH摂取は、次世代や次々世代の遺伝子発現に影響を与え、その結果、発達障害を引き起こす可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017920607948800
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p1-076s
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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