銅毒性の感受性時刻差に対して時計遺伝子は関与するのか

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タイトル別名
  • Involvement of clock genes against copper-induced diurnal toxicity in mice

抄録

<p>目的:我々は生体リズムを考慮した毒性学を「時間毒性学」として展開してきた。過剰量の銅は肝障害を引き起こす。単回投与で夜中では毒性が出やすく、朝方にかけては毒性が出にくい結果を得ているが、曝露回数で結果が異なる可能性が考えられる。本研究では、投与回数での銅による毒性の感受性の違いの検討および感受性時刻差をもたらす因子の解明を目的とした。</p><p>方法:(1) 7週齢のC57BL/6J雄性マウスを用いて、銅を10時と22時に対して、週に2回反復腹腔内投与を行い、8週間経時的に観察を行なった。また、投与5週間後での肝障害も評価した。(2) マウス肝癌由来Hepa1-6細胞を用いて、銅処理における細胞増殖試験、時計遺伝子の発現量を測定した。また、時計遺伝子 (Ciart, Cry2, Per1) を過剰発現させた条件下での細胞増殖試験および銅の恒常性維持に関わる遺伝子、細胞周期や細胞死に関わる因子の解析を行った。 </p><p>結果および考察: (1) 22時投与では、10時投与よりも致死率 (8週間投与) および肝障害の程度 (5週間投与) が強く認め られた。したがって、銅による毒性の感受性時刻差は単回投与と反復投与で同様の傾向を示すと考えられた。 (2) 銅処理により、3種類の時計遺伝子 (Ciart, Cry2, Per1) の発現量が増加し、さらにCry2, Per1の過剰発現 で銅による細胞毒性は増強した。また、Cry2, Per1の過剰発現で取り込みに関与するCTR1の増加、排泄に関わるATP7Bの減少が認められた。また、アポトーシスの亢進ならびにCyclin Eに起因する細胞周期に作用することが確認された。以上の結果から、夜中に発現量が高いCry2, Per1が銅トランスポーター機能を制御することで肝臓蓄積量を増加する結果、夜中の曝露では肝毒性が増強することが示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017920607961344
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p2-135
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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