白斑誘発性フェノール類のヒトチロシナーゼによる代謝活性化の評価

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タイトル別名
  • Evaluation of human tyrosinase-mediated metabolic activation of leukoderma-inducing phenols

抄録

<p> 「化学白斑」は化学物質との接触により皮膚に脱色素班が生じる疾患である。その代表的原因物質はメラニン前駆体チロシン類似のフェノール化合物であり、1939年のモノベンゾン以降、ラズベリーケトン、ロドデノール配合化粧品等が報告された。これらは共通してチロシナーゼにより反応性の高いオルトキノン体に代謝され、色素細胞の直接傷害あるいは免疫応答を介して白斑発症をもたらす機序が提唱されている。本研究では決定的過程「代謝活性化」に着目し、1)代謝物解析あるいは2)細胞毒性の発現により検出する方法を検討した。 </p><p> 代謝物解析は、ヒトチロシナーゼ高発現293T細胞または精製ヒトチロシナーゼ可溶性領域を各種フェノール類と反応させ、生成物をHPLC分析した。代謝活性化による毒性発現は、B16BL6メラノーマ細胞のチロシナーゼをsiRNAノックダウンし、化合物暴露によるチロシナーゼ依存的な細胞生存率の低下を評価した。</p><p> ヒトチロシナーゼ高発現293T細胞を用いた代謝物解析では、ロドデノールなど白斑誘発性7化合物全ての2時間暴露でオルトキノン代謝物のグルタチオン/システイン付加物が濃度依存的に細胞・培地に検出され、細胞内グルタチオンが低下した。白斑報告の無い2化合物では検出されなかった。精製ヒトチロシナーゼ(短縮型)も同様の基質特異性を示した。一方、チロシナーゼ依存的な細胞生存率の低下は白斑誘発性7化合物中4化合物に限定された。従って白斑誘発性フェノール化合物のチロシナーゼによる代謝活性化の評価には代謝物解析が優れ、ヒトチロシナーゼ高発現293T細胞を用いてオルトキノン代謝物のチオール付加体を検出する手法は、細胞毒性による評価より検出力と特異性に優れることが判明した1)。 </p><p>1) Nishimaki-Mogami T, Ito S, et al., J Dermatol Sci. 2022;108:77-86.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017920607971712
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p2-176
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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