高酸素透過性・低吸着性プレートを用いた腎スライス培養系の構築と薬物腎毒性評価への応用

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タイトル別名
  • Evaluation of drug induced kidney injury by primary culture of rat kidney slices using oxygen-permeable plate with low drug adsorption

抄録

<p>【目的】薬物誘発性腎毒性 (DIKI)は、前臨床試験段階での予測が難しく、有用なin vitro評価系が望まれる。初代培養ラット腎スライスは腎組織全体を含むためDIKI評価上有用である。これまでにガス透過性であるpoly-dimethylsiloxane (PDMS)プレートを用いることで腎スライスのviabilityは改善されたが1)、本素材は脂溶性薬物の吸着性が高い欠点がある。そこで本検討では、高酸素透過性・低吸着性の新規培養器材InnoCellTM Tプレートを用いた腎スライス培養系のDIKI評価上の有用性を調べた。</p><p>【方法】InnoCellTM Tプレート及びPDMSプレートに薬物を含む培地を添加し、24時間後に残存する培地中薬物濃度から吸着性を評価した。ラットから腎スライスを作製し、InnoCellTM Tプレート上で培養3日目までのATP量の測定および組織観察を行った。既知の腎毒性誘発薬物を含む培地中で2日間培養後ATP量を測定した。</p><p>【結果】InnoCellTM TプレートはPDMSプレートと比較し、cyclosporin Aなど高脂溶性薬物の培地内濃度が24時間高値で維持され、薬物吸着性が低いことが示された。InnoCellTM Tプレートを用いた腎スライス培養では、培養3日目までスライス内ATP量が維持された。組織免疫染色により、タンパク質の再吸収を担うMegalinの近位尿細管管腔側での発現が観察された。さらに、腎毒性を誘発するcisplatinやimatinibなどの薬物存在下で2日間培養後のATP量は、薬物非含有群と比較し有意に低下した。以上より、高酸素透過性・低吸着性のInnoCellTM Tプレートを用いたラット腎スライス培養系は脂溶性薬物のDIKI評価に有用であることが示された。</p><p>1) Arakawa et al., Biol Pharm Bull, 2022;45:316-322.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017920607980032
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p2-173
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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