生殖発生毒性におけるオートファジー誘導物質の特性予測解析
書誌事項
- タイトル別名
-
- Predictive analysis of the properties of autophagy inducers in reproductive and developmental toxicity
抄録
<p>【目的】オートファジーは、発生初期に機能不全に陥ったオルガネラやタンパク質凝集体を分解する主要な細胞内経路である。しかし、化学物質によるストレス条件下では、細胞機能の生存メカニズムの変化は不明である。化学物質によるストレス環境下において、オートファジー経路の機能障害は多くの疾患の病態に関与するため、オートファジー誘導物質がこの経路の機能障害に影響を与えるかを検討する必要がある。そのため、本研究では、オートファジー誘導物質と既知の毒性物質を多変量解析による特徴抽出によって特異的な活性を持つオートファジー誘導物質を推定した。【方法】オートファジーの遺伝的及び薬理学的調節が報告されている化学物質、米国食品医薬品局(FDA)で催奇形性が報告されている化学物質、成人への有害性が知られている化学物質の合計121物質をPubChemより収集し、ADMETpredictor9.5を用いて、薬物代謝に関与する11種類のCYP450 サブタイプのメカエリス定数、Vmax、クリアランスを抽出しデータを作成した。作成したデータを、多変量解析である主成分分析及びクラスタリングを行なった。【結果及び考察】121化学物質に関して11種類のCYP450 サブタイプを主成分分析した結果、4種類の化学物質が、他とは異なる寄与率を示した。そのうち、オートファジー誘導物質としてマイコラクトンが抽出された。11種類のCYP450 サブタイプをクラスタリングした場合の結果から、6種類の階層に分類でき、催奇形性が知られているイブプロフェンとバルプロ酸と同じクラスターには、オートファジー誘導物質であるドコサヘキサエン酸とベツリン酸が抽出された。以上の結果から、オートファジー誘導物質が、CYP450に対して特異的な活性を持つ可能性が示唆された。</p>
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P2-198-, 2023
日本毒性学会