心拍変動解析によるサルの自律神経系変化を介した薬物誘発性痙攣の予測

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タイトル別名
  • Prediction of drug-induced convulsion via autonomic nervous system changes in cynomolgus monkeys by heart rate variability analysis

抄録

<p>痙攣は医薬品開発に多大な影響を及ぼす毒性所見のひとつであるが、未だ適切なバイオマーカーは見出されていない。以前の研究においてサルの心拍変動と機械学習によって算出した指標がGABAA受容体拮抗薬誘発痙攣のバイオマーカーとなり、痙攣発生用量より低い用量で痙攣ポテンシャルを予測できるという可能性を示した。今回は本法によって他の機序の薬物誘発性痙攣の予測も可能であるのかを確認した。さらに自律神経系に影響を与える非痙攣薬についても同様に検討し、偽陽性の有無についても検証した。テレメトリー埋植雄性カニクイザルに痙攣薬(4-AP、カイニン酸、ラノラジン及びブプロピオン)を複数用量投与し、心電図を連続記録した。薬物投与前期間のデータを学習データとし、異常検出手法のひとつである多変量統計的プロセス管理により投与後の心拍変動を解析した。その結果、4-APでは痙攣用量より低い用量から指標(Q統計量)の上昇が認められ、カイニン酸及びラノラジンでは痙攣用量において指標の上昇が認められた。一方でブプロピオンでは本試験の最高用量(痙攣量の約1/3)まで指標の変化は認められなかった。また、非痙攣薬(アトロピン、アテノロール及びクロニジン)を投与したサルにおいて同様に解析した結果、いずれの薬剤においても明確な指標の変化がみられた。今回設定した指標の上昇は自律神経の活動状態と関連する既存の心拍変動指標(HF及びLF/HF)の変化を伴っていたもしくは先行していたことも踏まえると、本指標は痙攣そのものを直接的に検出しているというよりは自律神経系の変化を鋭敏にとらえるものであると考えられる。本法は偽陽性を生じさせる可能性はあるものの、開発候補医薬品の薬理プロファイルからその適用を慎重に判断すれば、薬物誘発性痙攣の有用な予測手法となり得ると考えられる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017920608044032
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p3-249
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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