機械学習によるリン脂質症誘発薬の判別方法の検討

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タイトル別名
  • Machine learning for discrimination of phospholipidosis–inducing drugs

抄録

<p>カチオン性薬物のうち、疎水性(logP)の小さい薬物は概してリン脂質症誘発能をもたず、反対に疎水性の大きい薬物は誘発能を有する。しかし、疎水性の程度だけで誘発能を判断することは難しい。一方、カチオン性両親媒性薬物によるリン脂質症は、薬物のリン脂質膜への結合能とよく相関することも報告されている。本研究では、薬物のリン脂質膜への結合能およびそれ以外の各種物性値とリン脂質症誘発能との相関を明らかにし、これらのパラメータを説明変数として薬物のリン脂質症誘発能の有無を判別する機械学習法を構築することを試みた。 </p><p>薬物のリン脂質膜への結合能として、固相化人工膜カラムへの保持係数を液体クロマトグラフィーで実測した。移動相には水とアセトニトリル(ACN)との混液をアイソクラティック条件で使用した。当研究室において、ACN含量40 %のときに予測された逆相保持による保持係数と保持係数の実測値との差(Δk40)が誘発薬と非誘発薬の判別に利用できる可能性があることが示されているため、Δk40ならびに保持係数の対数値の差(Δlogk40)を使用した。それ以外の物性値として、logP、pKa、polar surface area、logS等9種を用いた。カチオン性薬物には誘発薬と非誘発薬あわせて28種を選択した。 </p><p>これらのパラメータと誘発能との相関比は、大きいものから順にlogP、logS、Δlogk40、polar surface area、Hydrogen donor countとなり、これらはいずれも有意であった。相関比の大きいlogP、logS、Δlogk40を説明変数として修正マハラノビス判別関数を用いる判別分析を行ったところ、的中率は再代入法で0.964、leave-one-out法で0.857となり、機械学習によりリン脂質症誘発能の有無を判別することが可能であることが示された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017920608094208
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_p3-313
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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