中毒学から学際的法医学研究へ

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タイトル別名
  • From toxicology to interdisciplinary forensic research

抄録

<p>毒性学と中毒学はいずれもToxicologyの訳語としてあてられている。本邦においては、毒性学会と中毒学会、法中毒学会といった複数の学会があり、毒性学と中毒学が若干異なる意味合いを持つ可能性もあるため、以下言葉としてはToxicologyを用い、今後の法医学における展開につい述べたい。法医学は基礎医学というよりむしろ応用医学であるとされる。Toxicologyに発展により、ある薬毒物についての分析方法が研究開発され、また、どのような中毒症状が生じうるのかが明らかとなり、さらに、血液中における中毒あるいは致死濃度が判明すれば、それを法医学において応用することで、ある個体が、その薬毒物による中毒状態にあったことが診断できるようになる。実際に、法医学における中毒事例の鑑定では、Toxicologyから出された論文が参考文献とされることが多い。法医実務の発展のためには、Toxicologyの発展が必要である。一方で、危険ドラッグなど、新規に現れた薬毒物による未知の有害事象が発生した場合、法医学で経験された事例をToxicologyにフィードバックし、その薬毒物についての分析方法の開発、中毒によって生じる症状についての研究、中毒あるいは致死濃度の探求が必要となるであろう。海外においては、法医学で経験される解剖事例や生体鑑定事例について、薬毒物を分析する体制が整備されており、そのようなToxicologyへのフィードバックを行うことが可能で、それによる様々な研究が行われている。一方、日本では、薬毒物の分析体制は未整備であり、なかなかフィードバックがされていないのが現状である。Toxicologyの発展に供するような、法医学における薬毒物分析体制の整備が望まれると考えられる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017920608140416
  • DOI
    10.14869/toxpt.50.1.0_s28-3
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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