日本のヒトゲノム編集研究の行き詰まりの克服に向けて : 法律公布追及前に議論

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タイトル別名
  • Debate Before Decree:Path to Overcome Japan’s Scientific Stalemate on Heritable Human Genome Editing
  • ニホン ノ ヒトゲノム ヘンシュウ ケンキュウ ノ イキヅマリ ノ コクフク ニ ムケテ ホウリツ コウフ ツイキュウ マエ ニ ギロン

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抄録

社会学 論文

2018年に中国で世界初のゲノム編集赤ちゃんが誕生したことが明らかになったことを受け、科学界や法曹界では、この処置に関して絶対的かつ普遍的な禁止措置を導入する必要性があると訴えられた。しかし、ほとぼりがさめたころになって、遺伝性ヒトゲノム編集(HHGE)が倫理的に正当化できる場合もあるという考え方に主流となった。現在、世界保健機関(WHO)によってHHGEに関する最初の世界的勧告が採択され、原則的に、つまり安全性、有効性、倫理的要件が満たされれば、HHGEを受け入れるというコンセンサスが形成されつつあるようだ。同時に、HHGEの実験結果を報告する論文の数も着実に増えている。そのような中、バイオサイエンス大国であり、ヒトの全ゲノムを解読するというアイデアの発祥の地でもある日本では、HHGE科学/研究がゼロに等しいことが際立っている。本稿では、この停滞に焦点を当てる。本稿では、日本のヒト胚性幹細胞研究や死体臓器提供の事例を引き合いに出しながら、日本のHHGE科学が活性化し、この分野で日本が潜在能力を発揮するためには、広範な生命倫理学者主導の議論を開始する必要があると論じている。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 45 47-64, 2024-03-31

    大阪大学大学院人間科学研究科社会学・人間学・人類学研究室

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