終末期医療と意思決定支援

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  • 1)緩和医療の実際−こどもホスピスの取り組み

抄録

淀川キリスト教病院では2012年に、小児がん患者の看取りにも対応できるアジアで最初となるこどもホスピスを開設しました。病棟運営のメインは重症心身障害児のレスパイトであり、小児がん患児の利用は5%以下にとどまっています。現在までに20数名の方の旅立ちを支援してきましたが、最も大切なのが多職種によるチーム医療だと考えています。医師、看護師だけでなくリハビリや、心理士、MSW、事務職員、時には栄養士などが一緒になって子どもとご家族を支えるよう努めています。またキリスト教病院の特徴としては、キリスト教系のチャプレンが魂の問いなどに対して関わることもあります。疼痛にたびたび悩ませられる場合には、緩和医療医にもコンサルトしながら対応するようにしています。 しばしばお母さんとお父さんの意見やスタンスの違いも経験していますが、その調整に心理士や看護師が入ることもしばしばです。本人の気持ちを 遊びの場面などを通してさりげなく察知して、子どもが望んでいる夢を実現していくことを大切にしています。 一方で重症心身障害児の方の体調悪化時には、本来のかかりつけの病院に治療のために戻ることが基本で、こどもホスピスで看取りを行うことはありませんでした。ただ何度もレスパイトでこどもホスピスを利用しているご家族は、かかりつけの病院で亡くなる直前に親しいスタッフに連絡が入り、病院(小児ホスピス?)でお別れをつげたような例も経験しました。 今回は、主に小児ホスピスで行っている①本人や家族の意思決定支援、②チームでの話し合い、③緩和医療の実際を通して報告します。私どもの経験が少しでも皆様の参考になれば幸いです。 略歴 役職;淀川キリスト教病院、統括副院長兼小児科主任部長 1988年広島大学医学部卒業、神戸大学小児科入局、1995年に神戸大学医学部大学院卒業、姫路市総合福祉通園センターを経て2003年から淀川キリスト教病院、2012年にこどもホスピスを開設。2020年より現職。小児神経学会専門医、小児精神神経学会専門医、小児心身症学会代議員、英国王立医学協会会員、兵庫県社会福祉協議会児童専門部会および里親部会、委員。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017975920061440
  • DOI
    10.24635/jsmid.46.2_215
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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