O-14-09 重症心身障害児(者)における下剤の使用状況調査

DOI
  • 古海 一博
    独立行政法人 国立病院機構 西別府病院 薬剤部
  • 今井 一秀
    独立行政法人 国立病院機構 西別府病院 小児科

抄録

目的 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))では、消化管運動機能の低下、経腸栄養剤の使用、抗てんかん薬の多剤服用など様々な原因により、慢性的な便秘症状の合併を認める。「慢性便秘症診療ガイドライン」が2017年10月に刊行され、便秘治療における指針が示された。また、2012年以降、ルビプロストンを初めとした新しい作用機序の下剤が発売され、以後、治療の選択肢が広がってきている。今回、当院の下剤の使用状況調査を実施し、ガイドラインと比較したので報告する。 方法 入院中の重症児(者)130名を対象に、下剤の種類と服用数について後方視的に調査した。また、ガイドラインで頓用または短期間の投与を提案されている刺激性下剤の服用方法についても調査を行った。 結果 対象者130名のうち下剤の服用者数は117名であった。下剤の平均服用数は2剤(0 - 5剤)で、薬効群別では浸透圧性下剤が91名と最も多く、次いで刺激性下剤の68名、漢方薬34名、プロバイオティクス20名の順であり、上皮機能変容薬の使用は4名のみであった。刺激性下剤の服用方法は、定期服用が51名、頓用が17名であった。また、外用剤である浣腸(79名)、坐剤(12名)の使用者も多くみられた。 考察 ガイドラインで推奨度の高い浸透圧性下剤の使用頻度が最も高かった。しかし、刺激性下剤の定期服用も多く、長期連用による耐性の出現が懸念された。一方、上皮機能変容薬は、刺激性下剤の連用防止や腹痛や腹部膨満感、排便困難といった便秘の諸症状に対する効果も期待できるため、今後は積極的な処方提案を考慮する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390017975920141568
  • DOI
    10.24635/jsmid.46.2_281_2
  • ISSN
    24337307
    13431439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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