O-14-03 ソフトマッサージを用いた重症心身障害児(者)の便秘改善に向けた介入の一事例
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- 中嶋 彰子
- 東京都立府中療育センター
抄録
はじめに マッサージ等を代表とする触れるケアは様々な効果が報告され、その中でも柔らかく包み込むように皮膚にゆっくりと触れるケア(以下、ソフトマッサージ)は自律神経系を介して生理的変化を起こすとされ、便秘改善の報告もある。本研究では慢性的な便秘のある重症心身障害者A氏に対してソフトマッサージを行った結果、副交感神経への刺激による便秘改善の可能性について示唆が得られたため報告する。 対象 A氏 20代 女性 水頭症 倫理的配慮 院内倫理審査での承認と家族の同意を得た。 方法期間 2020年11月20日〜12月18日手順:体調等を考慮し計22日間、1回約4分腹部へのソフトマッサージを行った。突然腹部に触れる事による緊張を避けるためケア前に上下肢を包み込むホールディングを実施。観察項目:自律神経への影響と腸蠕動促進効果について開始・終了・終了30分後の3時点における脈拍値、SpO2値、腹囲(呼気時臍上)の平均値と時系列変動を観察した。自然排便促進効果については介入前と介入期間内の浣腸・ブジー・摘便(以下、便処置)、中等量以上の排便頻度を観察した。 結果 1 脈拍値は開始時平均68.4回/分を超えた全ての実施日で終了後または終了30分後の脈拍値が低下した。SpO2値は開始時平均98%、終了時平均97.3%、終了30分後平均99.3%であり終了30分後に微増。腹囲の平均値は開始時と比較して終了時は0.22cm低下、終了30分後は0.44cm低下した。また、実測値は有効データの得られた21日間中18日間で時間と共に低下した。 2 介入前30日間と比較して便処置の頻度は0.7回/週減少、中等量以上の排便頻度は1.8回/週増加した。 考察 介入期間ではソフトマッサージにより副交感神経優位となり腸蠕動が促進され、その結果僅かではあるが便処置の減少と排便回数の増加が生じたと考える。しかし、ソフトマッサージによる便秘解消の有効性については介入期間が短く実証にはさらなる研究が必要である。 申告すべきCOIはない。
収録刊行物
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- 日本重症心身障害学会誌
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日本重症心身障害学会誌 46 (2), 278-278, 2021
日本重症心身障害学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390017975920158080
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- ISSN
- 24337307
- 13431439
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可