サーキュラーエコノミーに対する自治体の政策について : 埼玉県を例にして

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  • Local Government Policies for the Circular Economy

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抄録

環境意識の高まりの中で地方自治体は地域の共生ならびに企業に対する産業政策としてサーキュラーエコノミー(CE: Circular Economy)に取り組み始めている。持続可能な発展を進める唯一の方法は「製造・使用・廃棄」という「線形」モデルから「循環経済」に切り替えることであるという認識が高まっている。CE は材料とエネルギーの循環に基いており、従来の「製造・使用・廃棄」の代替となるであろう。CE は再生可能エネルギーの源と新しい製造方法の使用を奨励して、製造における廃棄物を棄却することを排除し、使用済みとなった材料をもとの流れに戻す。  公共政策の面からは国や自治体は企業の活力を支援することでCE を推進させることができる。企業にとっては社会的なトレンドの中でCE を利用してポジションニングを向上させることができるだけでなく大きなビジネスチャンスとなる。  先行研究では必ずしもCE のシステムが明確にされているとは必ずしもいえいない。本研究は、CEを実施する上で、社会・政治・法、環境、経済、技術といった観点から、CE の障壁と機会を明確にする。その中でCE を推進させる行政(国や自治体)の位置づけについて検討を行う。さらに企業ができることについても明確にすることを目的としている。  本研究で紹介するCE に関する分析視点の議論は先行研究、とくにKumar et al.(2019)に依拠するところが大きいが可能な限りの修正を加えている。  埼玉県の事例については、現状調査(2022 年秋実施)として質問票が埼玉県内の中小企業に配布され、2023 年度の予算に反映されている。政策立案のバックデータとしての調査のため、次年度以降の政策等への示唆や詳細の分析については今後の課題としたい。  本研究は、以下のように構成されている。第1 章ではCE の必要性と現状紹介を、第2 章では、CEの定義について要約を提示している。続いて、第3 章ではCE 実施レベル、第4 章ではCE の「障壁」と「機会」を提示する。第5章では最近の動向について紹介する。第6章では埼玉県が行った調査と結果について紹介する。考察は第7章に提示され、第8章は本研究の結論をまとめ、限界、意味、および将来の研究の方向を示すことによって本研究を締めくくる。

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