人口減少社会における革新的下水処理技術の評価と普及の可能性

書誌事項

タイトル別名
  • EVALUATION AND PRACTICAL APPLICATION OF INNOVATIVE WASTEWATER TREATMENT TECHNOLOGIES IN THE AGE OF DECLINING POPULATION

抄録

<p> 日本の下水道事業は,人口減少による使用料収入の低減に直面する一方で,施設の老朽化に伴う維持管理費や改築更新費の増大が見込まれる.さらに,地球温暖化問題への関心の高まりから下水道事業においても温室効果ガス排出量の削減が求められている.これらの問題に対処するため,国や地方公共法人日本下水道事業団は,民間企業による新技術の開発を支援しているが,これまでのところ,中小規模の下水道を対象とした下水処理技術は広く普及していない.そこで本研究は,下水道新技術普及の阻害要因を明らかにし,その普及方策を示すことを目的として,複数の指標を用いて革新的下水処理技術を評価するとともに,普及を妨げる要因を解析した.その結果,いずれの新技術も高い経費削減率と温室効果ガス排出量の削減率を達成できることが示された.一方で,中小規模下水道は普及して間もなく,施設更新時期に至っていないことが,新技術の導入を先送りする要因となっている.さらに,下水道事業を取り巻く課題が多様化し,国,自治体,企業および住民などのステークホルダー間で,現状認識やニーズ,技術開発目標が異なってきたことが,新技術の導入を妨げる構造的な問題となっていることが示された.そのため,新技術を普及させるためには,国の政策目標と住民や自治体のニーズが同時に達成できるような技術開発や導入支援を行い,住民や自治体に対して新技術の導入効果をわかりやすく伝えることが重要である.</p>

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参考文献 (19)*注記

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