[千葉医学会奨励賞] 膠芽腫幹細胞に対する現行治療の有効性評価および免疫学的治療ターゲットの検討

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  • [Chiba Medical Society Young Investigator Award Minireview] The efficacy of existing treatment for glioblastoma stem cells and a potential target in immunotherapy

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抄録

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[要旨]膠芽腫はWHO gradeIVの原発性脳腫瘍であり,近年の研究により膠芽腫幹細胞が腫瘍の再発や治療抵抗性に寄与していることが明らかとなってきた。DNA修復酵素の1 種であるMGMT (O6-methylguanine-DNA-methyltransferase) の腫瘍細胞での発現は,治療抵抗性を増長することから,MGMT遺伝子プロモーター領域のメチル化が膠芽腫の予後関連因子となっている。そこで,膠芽腫幹細胞におけるMGMTプロモーターのメチル化をメチル化特異的PCR法で評価したところ,膠芽腫幹細胞のMGMTプロモーターのメチル化の状態は腫瘍全体のメチル化の状態を反映していた。このことは,MGMTプロモーターの非メチル化症例では膠芽腫幹細胞が現行治療に対する抵抗性を獲得していることを意味している。次に,免疫学的アプローチから膠芽腫幹細胞の排除を目指すため,フローサイトメトリーを用いて腫瘍細胞に発現した表面マーカーを解析した。その結果,膠芽腫幹細胞ではCD47が高発現となっており,先行研究の結果と併せるとミクログリアからの貪食回避にはCD47が関与していると考えられた。ミクログリアはもともと脳内で異物除去を担うグリア細胞であるため,貪食回避機構の阻害やミクログリアの活性化によって膠芽腫の治療への応用が期待できる。

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