踊り手の経歴と祭りへの意識からみる山形花笠まつりの存立構造

書誌事項

タイトル別名
  • Structure of the Yamagata Hanagasa Festival Based on Dancers’ Careers and Perception Toward the Festival

抄録

<p>本稿は,山形花笠まつりを事例として,今日における人々の祭りへの参加の経歴と,祭りへの意識を分析し,地域を代表する祭りの存立構造を考察した。山形花笠まつりは花笠踊りのパレードを中心とした祭りである。そのパレードに参加する踊りのチームは,地域住民組織や学校,企業,踊りのサークル,県人会などといった団体によって構成されている。踊り手の経歴をみると,彼らは進学,転居,就職などを契機として,時には所属する団体を変えながら,祭りに参加していた。踊り手は,様々な機会を通じて祭りに参加していくことで,団体や地域への帰属意識,花笠踊りを踊れることへの自信,山形市または山形県などの地域へのイメージといった意識を複合的に持つようになる。踊り手が祭りへの複合的な意識を持つことは,所属する団体が変わったとしても,新しい団体の一員として踊り手が再び祭りに参加することを促している。そして,ライフコースの中に祭りに参加する様々な機会があり,各団体内で経験者と初心者がどちらも所属していることは,未経験者の踊りの習得を支え,新たな踊り手の再生産や,パレードの完成度の維持に寄与しているといえる。山形花笠まつりは,こうした複合的な意識を持った踊り手による,様々な機会での参加の受け皿となっていることによって存立していると考えられる。</p>

収録刊行物

  • 人文地理

    人文地理 75 (4), 413-435, 2023

    一般社団法人 人文地理学会

参考文献 (6)*注記

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