検察官幹部人事の研究

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Research on Personnel Management of Senior Prosecutors in Japan
  • 検事総長、次長検事、高等検察庁検事長、および法務事務次官に注目して

抄録

検事総長、次長検事、東京・大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松の各高等検察庁検事長、および法務事務次官の合計11の検察官幹部ポストそれぞれについて、歴代就任者をつきとめ、彼ら一人ひとりの経歴を『官報』を検索するなどして調べた。それらの結果を累計し分析したところ、主に以下の3点が明らかになった。  第1に、幹部検察官には大学在学中に司法試験に合格した者(本稿では「現役合格」者とよぶ)が多く就いている。その比率は検事総長、東京高検検事長、大阪高検検事長、および法務事務次官といった枢要ポストになればなるほど高くなる。すなわちこれは、任官時に「現役合格」者にマークが付けられ、彼らを幹部検察官へ引き上げていく純粋培養コースの存在を示唆している。  第2に、複数の幹部ポストを歴任する検察官が多い。各自の就任順を集計することで次の優劣関係が判明した。検事総長>東京高検検事長(以下、地名のみ)>大阪>名古屋>福岡>次長検事=広島>仙台>札幌>高松>法務事務次官。  第3に、特捜部長経験者など現場出身者にも検事総長など最高峰ポストに到達する可能性がある。裁判所の場合、最高裁事務総局という司法行政部門での勤務経歴がなければ最高裁裁判官には届かない。一方、検察官でも幹部に就くのはたいてい、現場を踏まずに法務省勤務が長い「赤レンガ組」である。とはいえ、元東京地検特捜部長の吉永祐介が検事総長に達した例もはじめ、状況によっては「現場組」が登用される。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018120873629952
  • DOI
    10.60209/issmeiji.62.2_22
  • ISSN
    27587649
    03895971
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

問題の指摘

ページトップへ