抗体医薬における日本の大手製薬企業の競争劣位とM&A―ロシュの買収戦略とメルク,武田の自前主義―

DOI
  • 白石 美男
    京都大学大学院経済学研究科博士後期課程大学院生

書誌事項

タイトル別名
  • The Impact of M&A Strategies on the Competitive Disadvantage of Major Japanese Pharmaceutical Company in Drug Development: Roche’s Acquisition Strategy and Takeda’s and Merck’s Self Reliance Strategy

抄録

<p>抗体医薬は2000年代以降,製薬業界に最も大きな影響を与えたイノベーションである。この抗体医薬において,日本の製薬大手は日本の製薬大手はロシュ,ジョンソン&ジョンソン,アムジェンなどに比して競争劣位にある。この優劣の差の要因を明らかにするために,本研究では日米欧各大手が採った成長戦略の変遷を追い,経営史の観点から比較分析を行った。その結果,各社はいずれも成長戦略の中心を抗体医薬へ転換させてきたが,各社の戦略転換に時間差があること,また,各社の抗体医薬品の多くは大型M&Aによって獲得したものであるが,各社で大型M&Aに対する姿勢に違いがあったことが明らかとなった。さらにロシュ,メルク,武田の事例を通して,そうした違いが生じた経緯を詳細に辿った。そこからはロシュが圧倒的優位に立つことができた要因,メルクと武田が劣位に至った要因が明らかになった。メルクと武田は過去の成功体験から既存の戦略を過信して,自前主義に拘り,大胆な戦略転換が遅れていた。</p>

収録刊行物

  • 経済論叢

    経済論叢 197 (3-4), 23-42, 2024-03-22

    京都大学経済学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018120885773312
  • DOI
    10.57475/keizaironso.197.3-4.2
  • ISSN
    27583988
    00130273
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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