学校における性教育がもたらす効果の検証

書誌事項

タイトル別名
  • An empirical study on effect of sex education in school on young people
  • ―An exploratory analysis focusing on the effects on contraceptive behavior―
  • ―避妊に対する態度や行動に着目した探索的分析―

抄録

<p> 本稿は,学校における性教育が効果を有するのか,つまり,若者の性行動に影響を与えるのかを検証した.具体的には,健康教育におけるKABモデルを参考にしながら,性教育を受けた経験と避妊に対する態度(妊娠への憂慮感),そして避妊行動の関係を分析した.その際,性教育への有用感も考慮した.</p><p> 分析の結果,妊娠への憂慮感と避妊行動に対して学校での性教育が及ぼす効果は,高校生と大学生とで異なることが分かった.高校生の避妊行動には,学校で人工妊娠中絶を学習した経験が避妊への態度を媒介して間接的に影響を及ぼしている.また,高校生の避妊行動には性教育への有用感が直接的な影響を及ぼしている.一方で,大学生に対しては学校での性教育が効果を有しているとは言えなかった.大学生は学校での性教育などで得られた知識に限らず,これまで得てきた知識を意識的に参照しているとは限らないことが示唆される.以上より,避妊に対する態度や避妊行動を規定するメカニズムは,高校生と大学生で異なるという点が示された.</p><p> また,妊娠への憂慮感には避妊行動の有無が影響を及ぼし,逆に避妊行動の有無にも妊娠への憂慮感が影響を及ぼしている様子がうかがえる.さらに,高校生に限られた知見ではあるが,実際に避妊行動を選択した後に性教育が役に立ったと実感し,さらに知識を役立てて次の避妊行動を選択するようになる可能性もある.</p>

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