後世へ伝授すべき移植手技:肝移植

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抄録

<p>同所性臓器移植の本質は、臓器不全により通常の腫瘍切除や機能回復手術に耐えられない患者の疾患臓器を摘出し新たな臓器の脈管再建を行うことである。肝臓移植において、開腹から閉腹まで全ての手技が伝授すべき手技である。生体ドナー手術においては、開腹手術の中では高度に緻密な手技が要求される。生体肝移植でドナーは当然のこととしてレシピエントにも合併症が起きないための手技が正しく伝承されるべきである。 その原則は、レシピエントでは、出血量が少なく再建脈管を損傷しない剥離操作と軸と角度に無理がなく狭窄のない脈管吻合である。生体ドナーでは正確なボリューメトリ-と脈管解剖の理解に基づいた切離設計と胆管周囲組織の温存である。 現在、臓器移植以外の分野で血管吻合時に広く行われているtransluminal anastomosisはStarzl先生が考案した手技である。生体肝移植ならではの手技は、複数開口の血管・胆管再建であり、そのほとんどすべてが1990年代に、幕内・田中両先生により考案されたものである。天才の技を凡人である我々が理解し後世に伝えるために手術力学が重要である。この根本原理が理解できれば自力で応用問題が解けるようになる。伝えるべきは、公式ではなく原理である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s107_1-s107_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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