脳死肝移植後肝動脈閉塞症に対する総肝動脈-肝円索吻合

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説明

<p>【はじめに】肝移植では多様な重篤である術後合併症により非常に難渋する症例を経験する。</p><p>【症例】57歳男性、11年前にC型非代償性肝硬変、肝細胞癌に対し生体肝移植術施行。術後吻合部胆管狭窄から二次性非代償性胆汁うっ滞性肝硬変、肝腎症候群に伴う維持透析導入となり4ヶ月前に脳死登録。脳死肝腎移植術施行、著明な凝固機能障害、肝周囲中心の腹腔内癒着のため、手術時間1100分、出血量約27L。術後7日目に横行結腸穿孔に対し腹腔内洗浄ドレナージ、人工肛門造設術施行、以後ドレーン管理継続。術後23日目に肝酵素上昇、US・CTにて肝動脈閉塞症が疑われた。血管造影にて、固有肝動脈遠位での血流途絶を認めた(肝内動脈本幹は著明な血流低下認めるが遅延性に描出)。肝動脈再建施行も肝内動脈血流改善認めず、肝内動脈血確保目的に総肝動脈-肝円索吻合を行った。術後門脈圧亢進に伴う大量水様便等を認め水分・電解質補正、ドレーン管理継続。術後54日目にドレーン排液血性変化、CTで吻合部肝円索側の仮性瘤形成を認めた。緊急血管造影で仮性瘤より末梢血流は途絶、また以前の側副血行路の発達を認め良好な肝内動脈血流を認めたため仮性瘤はコイル塞栓施行。翌日より水様便減少し良好に経過した。リハビリを継続し、最終的に自宅退院となった。</p><p>【まとめ】綿密な術後管理と肝内動脈血確保の姑息的手段として総肝動脈-肝円索吻合により救命し得た症例を経験した。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s140_2-s140_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198838297216
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s140_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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