Nuss法と両側生体肺底区移植を同時に施行した小児漏斗胸合併症例

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Abstract

<p>症例は漏斗胸を合併する10歳男児。神経芽細胞腫に対する集学的治療後に薬剤性拘束性肺障害を発症し、脳死肺移植登録待機中であった。脳死肺移植にあたっては、アンダーサイズグラフトを移植し、異物を用いない胸郭形成術を検討していた。呼吸状態の悪化と、難治性気胸の発症があり、生体肺移植予定となった。患児の身長は125 cm、CT volumetryでは右胸腔は410 ml、左胸腔は207 mlであった。ドナーは20歳代女性の姉2名で、右下葉と左下葉のvolumeはそれぞれ、1294 ml (S6 385 ml、底区 909 ml)、955 ml (S6 286 ml、底区 669 ml)であった。レシピエントの胸郭の大きさを考慮し、右底区グラフトを右胸腔に、左底区グラフトを左胸腔に移植し、できるだけ胸郭を広げるため漏斗胸に対してはNuss法を行うこととした。クラムシェル開胸、人工心肺下に左右の肺摘出、左右の底区グラフトの移植を行った。2名のドナーS6は温存した。右肺静脈の吻合部狭窄に対して心膜ロールによる肺静脈形成を行い、人工心肺を離脱した。ペクタスバーを2本留置し、仮閉胸とした。術後7日目に閉胸、その後気管切開を行い人工呼吸器のweaningとリハビリを行った。気管カニューレを抜去し、術後2か月で独歩退院した。ペクタスバーに関連する合併症は認めなかった。術後1年のCTでは、右胸腔は608 ml、左胸腔は638mlで、もうしばらくバーは留置する予定である。</p>

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