60歳以上のドナーからの心臓移植の急性期成績~二施設共同研究~

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抄録

<p><背景>心臓移植待機患者は現在700名近くに達し、待機患者総数は昨年やや減少傾向にあるものの、待期期間はさらに延長している。待機患者の中には、長期待機が困難で高齢ドナーによる心臓移植を必要とする場合もある。今回、60歳以上のドナーからの心臓移植の急性期成績を検討した。<対象>1999年2月-2021年12月に大阪大学医学部附属病院と国立循環器病研究センターで心臓移植を施行した302例中、18歳以上の計260例を対象とした。ドナー年齢60歳以上による心臓移植29例(O群)と、60歳未満の231例(Y群)を比較し、60歳以上ドナーの安全性を検討した。<結果> レシピエント年齢中央値はO群55歳、Y群41歳であった。原疾患、腎機能、移植待機期間(1085 vs 1032日)、ドナー心機能に有意差は認めなかった。術後、心筋虚血時間に有意差は認めなかったが、O群で強心剤使用量が有意に多く、ECMO(17% v s3%)、IABP(12% vs 24%)を有意に多く必要とした。術後1か月の時点でEFに差は認めなかったものの、E/e’は有意にO群で高く(12.5 vs 8.5, p <0.01)、右心カテーテルにおいてO群で有意にCI低値(2.7 vs 3.1 L/min/m2, p<0.01)であった。ICU滞在日数に有意差は認めなかった。<まとめ>高齢ドナーによる心臓移植は急性期において拡張障害が出現しやすく、低心拍出量に留意する必要があると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s150_2-s150_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198838313472
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s150_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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