当院における腸管不全治療の経験

DOI

抄録

<p>【はじめに】腸管不全は,短腸症候群もしくは機能的腸管不全により静脈栄養に依存している状態である.背景は多様で,その希少性と重篤性から治療管理に難渋する場合も多い.当院でフォローしている腸管不全2例を提示する.【症例】症例1は24歳,男性.日齢3に中腸軸捻転にて大量小腸切除を行い,5cmの残存小腸は横行結腸と吻合.以後は中心静脈栄養(IVH)で管理.就学期以降のIVHは夜間のみ,月1回の脂肪製剤投与中.脂肪肝に伴う肝逸脱酵素の軽度上昇を認めている.良好な成長,発達が得られ,現在社会人として日常生活を送っている.症例2は1歳9か月,男児.出生当日に腹壁破裂にてサイロ形成,日齢4に腹壁閉鎖および併存した小腸閉鎖症にて大量小腸切除,また月齢4に回盲部切除を行い,残存小腸は25cm.術後も腸管拡張が持続し,月齢14に腸管減圧目的に空腸チューブ瘻を造設.その後も腸管からのbacterial translocationやカテーテル由来血流感染に伴う敗血症を繰り返している.脂肪肝および肝胆道系逸脱酵素の上昇を認めており,ω3系脂肪製剤の投与も行っている.【まとめ】初回大量小腸切除術以後の外科的介入を要さずに完全IVHで成長発達が得られた症例と,複数回の外科的介入を要し,今後の成長発達不良や肝不全への進行も危惧される症例,この2例における今後のGLP-2製剤の導入や小腸移植の適応などを考察する.</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s164_2-s164_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198838331648
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s164_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ