腎臓移植におけるHuman papilloma virus感染症の治療、予防戦略

DOI
  • 余西 洋明
    大阪大学 腎臓内科 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 後藤 憲彦
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 二村 健太
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 西沢 慶太郎
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 長谷川 雄基
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 田中 慧
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 岡田 学
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 平光 高久
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 一森 敏弘
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 鳴海 俊治
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科
  • 渡井 至彦
    日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 移植内科・移植外科・内分泌外科

抄録

<p>Human papilloma virus (HPV) は多数の型が存在し、一般的には皮膚や肛門・外陰部の疣贅の原因となる。一方で子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)や子宮頸癌の原因となるハイリスク型も存在し問題となる。正常免疫下ではHPVの自己免疫による排除やCINの自然消滅もみられ癌化するのは一部である。しかし、HPV感染後の免疫応答に重要な細胞性免疫が、免疫抑制剤使用中の移植後患者では低下している。そのためウイルスが排除できず持続感染状態に陥りやすく、臓器移植後患者の癌化リスクは高いとされる。実際、当院でハイリスク型HPVが認められた腎移植後患者の中に経過観察でCINが自然消失した症例はおらず、CINが認められた腎移植後患者では厳格なフォローならびに経過に応じたレーザー蒸散術や円錐切除などの積極介入が必要であろう。さらにハイリスクHPV陽性腎臓移植後患者の中には妊娠希望患者も多い。この事は腎移植後患者におけるHPV感染症管理はpreconception careにおいても重要であることを示唆する。2023年4月から本邦でも9価HPVワクチンが公費接種可能となり、ほぼ全てのハイリスク型HPVを予防できることになる。従って今後は、移植前にもワクチン指導を含む適切な情報提供を患者・家族に行うことが重要になる。このように、移植『後』のみならず移植『前』のHPV診療において移植医、特に内科・小児科医が果たす役割は大きく、当院でのデータならびに症例を共有しつつ議論したい。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s190_2-s190_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390018198838365056
  • DOI
    10.11386/jst.58.supplement_s190_2
  • ISSN
    21880034
    05787947
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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