ヒト ES 由来軟骨移植による気道再建の研究

DOI
  • 渕本 康史
    国際医療福祉大学 小児外科
  • 古村 眞
    東京大学医学部附属病院 ティッシュエンジニアリング部
  • 陳 俊龍
    国立成育医療研究センター 再生医療センター
  • 古村 浩子
    東京大学医学部附属病院 ティッシュエンジニアリング部
  • 伊藤 怜
    国立成育医療研究センター 再生医療センター
  • 絵野沢 伸
    国立成育医療研究センター 再生医療センター
  • 梅澤 明弘
    国立成育医療研究センター 再生医療センター

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抄録

<p>【目的】国立成育医療研究センターではヒト ES 細胞株を樹立(SEES2)し,肝細胞や軟骨組織の誘導に成功し、肝細胞では医師主導治験が行われている.現行の自家肋軟骨による気道再建術は,肉芽形成や再狭窄などの晩期合併症が発生し,必ずしも満足できる治療法ではない.【方法】ヒトES 細胞株(SEES2)を拡大培養の後,軟骨に分化培養によって形成したプレ軟骨片をNOGマウス皮下に移植して成熟軟骨片(ヒト ES軟骨)を得た.ヌードラットの頸部気管に 2x3ミリ大の切開孔を作製し,同サイズのヒト ES 軟骨を 8-0 非吸収糸にて欠損孔にパッチ移植した.移植 1か月後,3か月後に,内視鏡検査、サンプリングを行った(各 n=3).【結果】ヒト ES 由来軟骨パッチ移植では術直後の軟化症状は認められなかった.ヌードラットは全例良好で呼吸器症状は見られなかった.移植 1か月後のパッチ移植部位には,移植軟骨の内面に気道粘膜上皮が遊走し,自己再生を確認した.さらに,吻合部でヒト ES 由来軟骨とラット気管軟骨の癒合を認めた.移植後 3か月までパッチ移植部位の狭窄は認められなかった.【考察】ヒト ES 細胞由来の軟骨組織は,気道再建を行う上で,十分な力学的強度を有することを確認した.また,再建後 3か月後の気管内腔には,粘膜上皮の自己再生ならびに気管軟骨との融合も認めた.ヒト ES 由来軟骨は,新たな気道再建へと発展する可能性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s235_3-s235_3, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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