小児生体肝移植における術後DSAの現状とchronic AMRに対する治療戦略

DOI
  • 清水 誠一
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 阪本 靖介
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 福田 晃也
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 内田 孟
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 柳 佑典
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 小峰 竜二
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 中尾 俊雅
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 兒玉 匡
    国立成育医療研究センター 臓器移植センター
  • 羽賀 千都子
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 中野 憲之
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 義岡 孝子
    国立成育医療研究センター 病理診断部
  • 笠原 群生
    国立成育医療研究センター 病理診断部

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抄録

<p>【緒言】小児肝移植において、術後に存在するDSAが移植肝に与える影響についての報告は十分でなく、DSA陽性症例に対する治療法も確立していない。【対象と方法】2005年11月以降当科で初回小児生体肝移植(移植時月齢12.0(1-215))を施行し、術後1年以上経過し、DSAを測定した463例を対象とした。DSA発生率、肝生検における病理組織所見、cAMR症例に対する治療効果について検討を行った。【結果】小児肝移植後のDSA陽性症例は119例(25.3%)で、ClassIのみ陽性は13例(10.9%)、ClassIIのみ陽性は92例(77.3%)、ClassI・IIともに陽性は14例(11.7%)であった。このうち80例に肝生検を施行したところ、早期慢性拒絶が29例(36.3%)、正常もしくは軽度の線維化を認める症例が28症例(35.0%)、cAMR(possible含む)が19例(23.8%)、その他は4例(5.1%)であった。cAMR症例におけるDSAのMFIは高値であり(p=0.0005)、cAMR症例においてMFI高値(cut-off: 6890)の症例で線維化が進行する傾向を認めた。cAMR症例に対する治療期間の中央値は19.8か月(10-47か月)で、MMF導入症例は12症例であった。治療効果はC4d陽性症例が14症例(73.6%)から5症例(29.4%)に減少し(p=0.018)、MMF導入症例ではCNI単剤症例と比較してDSAのMFI低下が大きかった (p=0.034)。【結語】小児肝移植術後DSA陽性症例においては肝生検で病理組織を確認する必要があり、cAMR症例に対してはMMFを併用した免疫抑制療法が有用である可能性が示された。 </p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s243_2-s243_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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