ミトコンドリア腎病による末期腎不全患者に対する生体腎移植の1例

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抄録

<p>【背景】ミトコンドリア病は約5,000人に1人の頻度で発症する先天代謝異常症で、ミトコンドリアの機能不全に起因する全身疾患の総称である。ミトコンドリア病によって起こる腎症はミトコンドリア腎症と呼ばれ、今回希少なミトコンドリア腎症による末期腎不全に対し生体腎移植を経験したため報告する。【症例】16歳女性10歳時に低身長の指摘されていた。12歳時軽度腎機能障害で腎生検施行するも異常所見は認めなかった。15歳時に心筋肥厚も認めミトコンドリア病の診断となりビタミンカクテル療法を行ったが、腎機能悪化し腎代替療法を提案され生体腎移植を希望し当院紹介となった。父親をドナーとする生体腎移植術施行。術後経過は概ね良好で術後20日で尿管ステント抜去、その翌日に発熱あり尿培養から酵母様真菌検出され抗真菌薬投与開始となり解熱。術後31日で退院となった。現在、術後4ヶ月経過しトラブルなく外来フォロー中である。【考察】ミトコンドリア病による腎機能障害は様々な病態が報告されており、発症から診断に至るまで時間がかかることや未診断経過している可能性も指摘されている。本邦でミトコンドリア腎症に対する生体腎移植術の報告はわずかであり、本症例含めて5例のみである。若干の文献的考察を加え報告する。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s249_2-s249_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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