成人固形臓器移植の術前ワクチン接種状況の全国実態調査アンケート解析結果報告

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抄録

<p>【背景】固形臓器移植患者では術前ワクチン接種が管理されている施設と、管理が不十分で術前予防がなされずに移植に至るケースもある。全国施設のワクチン接種の状況はこれまで調査されたことがない。【方法】日本移植学会との協同連名で、全国アンケート調査を実施した。2022年9月-11月で、固形臓器(肺、肝、腎、膵、心、小腸)移植施設221施設にWebアンケートシステムを用いて回答を依頼し、集計した。小児専門施設の情報は今回の解析対象から除外し、215施設の成人移植を解析対象とした。【結果】全回答率は151/215 (70.2%)であった。生ワクチン接種推奨回答施設64.9%、不活化ワクチン接種推奨回答施設68.9%であった。実施している不活化ワクチンの内訳は、SARS-CoV2 73.1%、インフルエンザ73.1%、B型肝炎67.3%、肺炎球菌、65.4%(23価)、31.7%(13価)、帯状疱疹 23.1%。ワクチン接種対応で障害となる理由では、移植までに時間的余裕がない60.3%、費用負担41.1%、接種本数が多い21.9%、必要性の認知不足 17.9%、必要性の説明15.2%、であった。【考察】施設間でまだ認識や体制の差があることが判明した。肺炎球菌ワクチンに関しては、推奨の2種類(16.2%)ではなく片方接種の施設は一定の割合(34.6%)で認め、各施設への認識の徹底でスケジュール効率化を進めることやワクチン自己負担軽減への働きかけ(行政への相談など)も非常に重要であることを確認できた。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s266_1-s266_1, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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