心臓移植患者におけるエベロリムスを用いた免疫抑制療法への変更と腎機能の変化との関係

DOI

この論文をさがす

抄録

<p>【背景】カルシニューリン阻害薬を減量し、ミコフェノール酸モフェチルをエベロリムス(EVL)へ変更することが腎機能に与える影響については依然として明らかではない。【目的】EVL導入前後での腎機能の変化について検討すること。【方法】1999年2月から2020年12月に国立循環器病研究センターと大阪大学病院で心臓移植を受けた255例のうち、EVLに変更し3年間継続できた159例について、EVL導入時と3年後の推算糸球体濾過量(eGFR)の変化を検討した。【結果】移植時年齢は41.1±13.4歳で、男性は123例(77.3%)であり、EVL導入の理由は腎機能悪化が63例(39.6%)、それ以外が96例(60.4%)であった。移植後1.3±2.1年でEVLに変更していた。EVL導入は3年後の腎機能を改善する傾向にあり[eGFR; 64.4±30.3 vs 67.9±35.8 ml/min/1.73m2、p=0.064]、腎機能悪化を理由にEVLに変更した63例において、3年後のeGFRは有意に改善した(44.8±11.2 vs 52.1±17.0 ml/min/1.73m2、p<0.001)。移植後1年以内でのEVLへの変更(44例)は有意に改善し(p<0.001)、一方で1年以降での変更(19例)は改善に繋がらなかった(p=0.570)。【結語】心臓移植後患者においてEVL治療への変更は、腎機能の改善につながる可能性がある。変更時期についてはさらなる検討が必要である。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s301_3-s301_3, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ