HBs抗原陽性ドナーからHBV未感染レシピエントへの生体腎移植の経験

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抄録

<p>[緒言]HBs抗原陽性ドナーからHBV未感染レシピエントへの腎移植は、HBV感染の観点から適応外とされることが多い。ドナーにエンテカビル(ETV)を投与してHBV-DNAの陰性化とレシピエントにB型肝炎ワクチンを接種し、高力価のHBs抗体を獲得することを条件に当院の倫理委員会の承認を得て生体腎移植を施行した2例を報告する。[症例]レシピエントは47歳と51歳の男性。HBs抗原/抗体、HBc抗体、HBe抗原/抗体は全て陰性であった。ドナーは75歳と70歳の実母と義理母で、HBs抗原、HBc抗体、HBe抗体、HBV-DNAが陽性であった。2例のレシピエントは他のドナー候補者はいなかった。ドナーはETVを投与され、腎提供前3ヶ月間のHBV-DNAの陰性化を確認した。レシピエントは、通常3回のHBVワクチン接種に加え、ブースター効果を得るためにそれぞれ10回、14回の追加接種を行い、HBs抗体価1000mIL/ml以上を獲得した。1例は、移植直前からETVの内服を行った。2例ともに血液型適合腎移植であり、タクロリムス/ミコフェノール酸モフェチル/メチルプレドニゾロン/バシリキシマブで免疫抑制導入を行い、維持期にメチルプレドニゾロンからエベロリムスへの変更を行った。1例に細胞性拒絶を認め、ステロイドパルスおよびメチルプレドニゾロンの再開を要した。2例とも移植腎機能は良好に推移している。腎移植後それぞれ7ヶ月及び2年が経過し、HBsAbの抗体価は低下を認めるがHBV-DNAは陽性化せず経過している。</p>

収録刊行物

  • 移植

    移植 58 (Supplement), s318_2-s318_2, 2023

    一般社団法人 日本移植学会

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